ブランド品を紹介する女性誌が氾濫する一方で、ブランド好きの女性批判が見られる現代日本ともよく似た状況だ。なおイギリス男性も、交通網の発展を背景にした旅行ブームのなか、海を越えてフランスやイタリアに旅行に出かけては「羽目をはずす」ことで有名であった。「成熟した欧米社会」に対する「幼稚な日本」が指摘されることは多いが、欧米社会が成熟しているとすれば、それは「動き」の変化に伴う国内外での異文化体験の蓄積を経ての「成熟」でもあるだろう。現代の日本人は、ようやく個人レベルでの「鎖国」状態から脱しつつある。やや極端な「ブランドブーム」は、同質的な閉鎖的社会から異文化交流型社会へと向かう、文化・社会面でのひとつの制度変化の過渡期にある現象として捉えられる。日本人の海外でのマナーの悪さなども、その悪しき一端であって、今後こなれていくものだと考えられる。マークス寿子の著書『自信のない女がブランド物を持ち歩く』に代表される短絡的な批判については、もう少し長い目で見たらどうかという感想を持たざるをえない。