そんな彼の実家はお稲荷さんの別当をしていて、時々小遣い稼ぎに賃銭箱をひっくりかえしに行っていたみたいです。一年ほどアルバイトをした後、東京へ料理人の修行に行って、二年くらいして帰ってきました。いよいよ料理屋を開業するというとき、こともあろうに、そのお稲荷さんのある土地に店を建てるというのです。お稲荷さんを潰して店を建てることが、罰当たりになるのか、大当たりになるのか。彼は大当たりをねらって、お稲荷さんを店の中に安置してしまうことにしました。ただ、ご神体は安置しても、門前の一対のおキツネ様の石像の処理に困り、私に相談に来ました。いくら中古品屋といってもおキツネ様を売り物として並べて売るのも罰当たりな話。考えたあげく、市内の大きな稲荷神社に寄付することにしました。神社のほうでも快く引き受けてくれたのですが、運搬はこちらでやってくれとのこと。初めておキツネ様を運びましたが、その重いこと。粗相をしては罰当たりになると思って、慎重に慎重に、やっとの思いで参道の両脇に安置しました。これで、私も稲荷神社に寄贈などして商売繁盛の御利益があるのではないかと思っています。